中池見湿地は福井県敦賀市の市街地東に隣接し、里山に囲まれた広さ25haの湿地。日本から急速に姿を消しつつある生き物たちと、フィールド・ミュージアム(野外博物館)として気軽に触れあえるところです。また、研究者にとっては中池見湿地の動植物、地形地層は興味深いもので、最近は国外からも関心を呼んでいます。かつては杉の巨木が生える沼地でしたが、江戸時代より新田開発が始まり、減反政策が始まる直前には全体が水田になりました。その後休耕田が増え、大阪ガス(株)の買収後はほとんど放置状態となっています。区画整理事業ができなかったことから湿田として残り、水環境の良さにより現在も多様なモザイク状の生態系が保たれています。 「江」と呼ばれる5本の小川にはメダカやイモリ、ゲンゴロウが群れ、湿地には特有の植物が群落を作ります。春ならばサワオグルマやミツガシワ、夏はカキツバタ、ミズトラノオ、デンジソウ、秋はトチカガミ、ミゾソバなどが、四季の風景を彩ります。晩秋にはオオニガナの黄色に染められ、やがて中池見は白い雪に包まれます。 鳥については、秋から春にかけてはオオルリ、ジョウビタキ、ツグミなどの渡り鳥の中継地として、またオオタカ、クマタカなどの猛禽類にはえさ場としてとても重要な場所になっています。また夏には、オシドリやヒクイナの親子に会えるなど、年間を通じて思いもかけない鳥に出会うことがあります。 トンボの種類も豊富で、ハッチョウトンボをはじめ現在70種のトンボが確認されています。これは自然の状態での数ですから、日本でも誇れる数です。また、水生昆虫も研究者によって多くの希少種が確認されています。近年、中池見湿地で新種のテントウムシも発見され、ナカイケミヒメテントウと名づけられました。 ![]() 周囲を里山に囲まれた地形は袋状埋積谷といい、岩盤までの泥炭層は50mにも及びます。10万年分の環境考古学的データが積層しており、コスタリカでのラムサール会議(1999年)では世界的にも稀な例として注目を集めました。また、2000年夏のカナダでの国際泥炭・湿地会議のシンポジウムやポスターセッション、ブース展示を通して、多様な生物と水環境の中池見が注目されました。
※中池見湿地(敦賀市)の自然 −その限りない魅力の秘密を探る− |