| NO4 環境シンポ(6/1・大阪)のレポート NO2でご紹介した、大阪ガスの環境シンポジウム「21世紀の地球システムと人間圏」の報告です。 このシンポジウムは28回目で大阪府と大阪市の後援をもらうようになって7回目とのことです。参加者は300人くらいでほとんどが背広を着た男の人でした。 肝心の内容ですが、松井さんの講演はスケールの大きな話でした。専門である惑星物理学者としての研究対象が、銀河系スケールで星・生命の誕生・歴史をどう考えるかであり、その視点で地球の文明・環境の問題をどう考えるか、そして現代はどう見えるのかというものでした。 それに続くパネルディスカッションは日本電気株式会社の環境担当者山口さんは企業としての理念と具体的行動と実績を語り、生活文化研究者の古館さんは生活者の視点で環境問題の解決のための取り組みや価値転換について語りました。 松井さんは、「現在の環境問題は私たちが農耕牧畜文明を始め、工業文明にたどり着いたことから地球システムへ大きな影響を与え、その地球システムからそのまま進んで行くことへの負のフィードバックを受けていることが観測できているということで、では、元に戻すのか、このまま進むのか、どこを目指すのかがはっきりされないままなのが現状である」とし、自身の考えは、最後のまとめで「20世紀はユートピアだったと思います。これを維持したいというのが本意です。」と話し、元に戻す道を選ぶのではなく、かといってこれまでの概念や価値感のまま進むのでなく、具体的には専門の分野で自然に対する 知識を拡大することで抜本的な技術革新に寄与したいと語りました。 この場で語られたことを大阪ガスなり各企業、もちろん個々の人が真剣に受け止めて、ちゃんと考えることができれば、環境問題は厄介で余計なことではなく、私たちが何のために生きていくのか、21世紀の新たなスタイル(技術やシステムや価値や概念)を創り出す原点になるのだという感想を持ちました。(報告:横山恵子・2001.6.15) NO3 自然環境復元シンポ(6/1・敦賀)のレポート NO1でご紹介した自然環境復元シンポジウム「農村ビオトープ・共生と創造」〜農村の未来像をさぐる〜の報告です。 このシンポは、NPO法人自然環境復元協会主催、日本ビオトープ協会の共催で開かれました。内容は、午前中の「人と自然のふれあいの里」(大阪ガスが中池見に作った環境保全エリア)の見学会のあと、午後から、ビオトープに関する講演と研究発表、パネルディスカッションが行われました。 講演ではまず、杉山氏が、日本の原風景であり、子どもにとっての原体験の場であった農村環境が失われたことを憂慮していると話し、農村環境を構成するもの(水田など)と生き物との関係について、そして農村ビオトープについて事例を元に話しました。 つぎに、宇根氏は農村ビオトープの考え方に賛同し、これからの農業に関わる人たちは、自分の農地に関してはどんな生き物が棲んでいるのかということまで熟知し、評価し、農産物と同時に自然環境を保護しているという農民自らと社会全体の意識改革が必要と話しました。 そして、中川氏は圃場整備一筋にやってきた研究者として、生産性の高い水田を作ってきたことへの自負を持ちながらも、これからの農業は生産性をあげることと自然環境を守る方法の両立を模索する必要があるとし、工夫した圃場整備とビオトープを取り入れた事例を紹介しながら、三次的自然とでもいうべきものを研究中であると話しました。 このようにまとめると、それなりに意義深い納得することの多い話であったように思えます。しかし、杉山氏と中川氏の話をよくよく聞いていると、豊かな生態系を育んでいた日本の農村環境というものを守ると言いながらも、それは大変なので、つまり、「標準的な農村環境のサンプル」を残しておくことにしましょうと言っているように思えました。 それは、米の生産性にこだわるばかりでなく、農業技術を環境保護技術としても評価、育成、支援しなければ、日本の農業に未来はないとする宇根さんの主張とは似て非なるものと感じました。 肝心の中池見について、杉山氏は「保全エリアだけで貴重な動植物が残ったけれども、それ以外のところではヨシが密生し、生物相が乏しくなった」と述べました。これには、大いに反論あるところです。 確かに全ての水田は放棄されているので、ヨシは増えています。でも、それだけで何もいなくなったようなおっしゃりようは、学者さんとも思えない不正確なご意見だと感じました。 ちなみに、研究発表の中で、大阪ガスに依頼されてエリアの維持管理をしているテクノグリーンの関岡氏の報告によると、エリアに取り組むにあたってのコンセプトは、「従来の営農に準じた管理」と「トンボ類が生息できる多様な環境」とのことで、そのトンボの種類は、右肩上がりと言いながらも12〜13種類ということでした。先日(6/10)のトンボの観察会(エリア外)では、2〜3時間に17種類も確認できたことと考え合わせても、「生物相が乏しくなった」という発言には疑問を感じざるをえません。 何よりも腹立たしく感じたのは、エリア造成中にエリア外に元々群生していた貴重な植物をごっそりと根こそぎ剥ぎ取っていったこと、また、大阪ガスが買い取った水田の全てが放棄されていたわけではなく、放棄されていない水田までも買い取って放棄してしまったこと、このような経緯をまるで無視して、あたかもエリアのおかげで中池見の自然が守られているかのような発言には、納得がいきませんでした。 農村環境の有意義さを強調する杉山氏が、どうして、この中池見の貴重な生態系を守るようには働きかけてくださらなかったのか、このシンポジウムに参加して、さらに残念な気持ちでいっぱいになりました。 最後に、報告はきちんとできませんでしたが、安曇野で親子の自然観察サークルをしている那須野さん(長野県三郷村職員)のパネルディスカッションでの発言を紹介したいと思います。「水田の圃場整備を急ぎすぎたために、生き物だけでなく多くの遺跡も失うことになった。このことによって、郷土を愛する気持ちが継承されなくなり、感性の育たない環境にしてきてしまい、まちづくりを担う人づくりが難しくなってしまった。」 生き物を見るだけで触れることの許されない「ふれあいの里」ではなく、どろどろになりながら、メダカやトンボと戯れ、花を摘むことのできる本物の中池見に子どもたちを育ててもらいたい、そして、子どもたちには中池見のあるこのまちを好きでいてほしいと思いました。(報告:上野山雅子・2001.6.15) NO2 大阪では大阪ガス主催環境シンポジウム NO1のイベントと同じ日に大阪では、大阪ガスの環境シンポジウム「21世紀の地球システムと人間圏」が大阪ガスの本社ビルで開かれます。 松井孝典(東京大学教授 理学博士)の特別講演と山口耕二(日本電気株式会社主席技師長 (環境担当))、古館 晋(生活文化研究家)を加え、安達 純(大阪ガスエネルギー・文化研究所所長)のコーディネーターによるパネルディスカッションが内容です。 テーマとして「ー2001年 環境問題を原点から考えるー」がつけられていますが、「環境問題の『原点』」として何が語られるのか注目したいです。参加する大阪のトラスト会員による報告を予定しています。(2001.5.29) 環境シンポのレポートへ NO1 敦賀市で自然環境復元シンポジウムシンポがあります NPO法人自然環境復元協会主催、日本ビオトープ協会共催(敦賀市後援)で、次のようなイベントが開かれます。 6月1日午前中は中池見ビオトープ「人と自然のふれあいの里」(環境保全エリア)の見学、午後はプラザ萬象で、自然環境復元シンポジウム「農村ビオトープ・共生と創造」〜農村の未来像をさぐる〜。 このシンポジウムの中では、大阪ガスが設置した環境保全エリアのための専門家委員会の長であった杉山恵一氏が講演を行い、また、大阪ガスの下請けで保全エリアの管理を行っているテクノグリーンの研究発表があったりと、中池見の環境保全エリアをビオトープの成功事例として、宣伝するものだろうと察することができます。 中池見の貴重な自然を壊して作った箱庭のような保全エリアを「中池見ビオトープ」と名づけ、「環境復元」と銘打ったこのシンポ、「ビオトープとは何?」の問いにどうお答えになるのでしょう。シンポジウムの報告は追って本HP上でしたいと思います。(2001.5.24) 自然環境復元シンポのレポートへ |